症例
A群レンサ球菌emm89型株による坐骨急性骨髄炎の1例
多湖 明香里
1
,
伊藤 翠
,
福田 恵子
,
小林 悟
,
神岡 直美
,
濱嶋 直樹
,
鈴木 悟
,
長谷川 忠男
1名古屋市立西部医療センター 小児科
キーワード:
Ampicillin
,
Streptococcus pyogenes
,
骨髄炎
,
坐骨
,
X線CT
,
Streptococcus Infection
,
細菌培養
,
静脈内投与
,
STIR法(MRI)
,
血液培養
Keyword:
Blood Culture
,
Ampicillin
,
Ischium
,
Osteomyelitis
,
Streptococcal Infections
,
Streptococcus pyogenes
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Administration, Intravenous
pp.503-507
発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/J00639.2016267603
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症例は14歳男児で、40℃の発熱と右鼠径部痛が出現した。倦怠感と水分摂取不良も認め、精査のため入院となった。両下腿に擦過傷を多数認め、右下腿に痂疲の付着と浸出液を認めた。血液培養を採取し、セフトリアキソンにより広域抗菌薬治療を開始した。第2病日に右鼠径部から右大腿部にかけての疼痛が悪化、歩行困難を認めた。股関節MRIで右坐骨にT1WI低信号、T2WI・STIR高信号域を認め、右坐骨骨髄炎を疑った。また坐骨周囲の右内閉鎖筋・外閉鎖筋・大内転筋にもT2WI・STIR高信号域を認めた。股関節CTでは右坐骨結節に骨溶解像を認めた。血液培養でグラム陽性球菌を検出した。急性骨髄炎で頻度の高い黄色ブドウ球菌を念頭に、抗菌薬をセファゾリンとクリンダマイシンに切り替えた。第3病日に血液培養でA群レンサ球菌が陽性となり、A群レンサ球菌による右坐骨急性骨髄炎と診断した。第3病日よりアンピシリンに切り替え28日間の静脈投与を行った。第17病日に疼痛は完全に消失し歩行可能となった。第32病日に退院した。退院後1年現在は再発を認めていない。
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