症例
A群溶血レンサ球菌による耳下腺膿瘍の1例
河上 千尋
1
,
中村 道子
,
山内 貴未
,
井代 学
,
久門 具子
,
平 清吾
,
坂 良逸
,
松島 礼子
,
小川 哲
1大阪府済生会吹田病院 小児科
キーワード:
Streptococcus pyogenes
,
顔面外傷
,
耳下腺疾患
,
多剤併用療法
,
X線CT
,
転倒・転落
,
膿瘍
,
頬
,
Streptococcus Infection
,
Clarithromycin
,
Tazobactam-Piperacillin
Keyword:
Abscess
,
Accidental Falls
,
Drug Therapy, Combination
,
Cheek
,
Facial Injuries
,
Parotid Diseases
,
Streptococcal Infections
,
Streptococcus pyogenes
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Clarithromycin
,
Piperacillin, Tazobactam Drug Combination
pp.199-203
発行日 2016年2月1日
Published Date 2016/2/1
DOI https://doi.org/10.18888/J00639.2016168054
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6歳女。自転車運転中に転倒して左頬部を強打した翌日に左頬部腫脹が出現した。近医でムンプスを疑われ、無治療で経過観察されていたが腫脹は続き、抗菌薬(テビペネム・ピボキシル)投与によっても改善しないため、腫脹出現から10日目に当科へ紹介された。諸検査の結果から化膿性耳下腺炎、耳下腺膿瘍と考え、入院治療を開始した。壊死性筋膜炎に対する抗菌薬使用ガイドラインを参考にタゾバクタム・ピペラシリンを選択し、マイコプラズマやクラミジアの関与を考慮してクラリスロマイシンを併用した。入院翌朝も膿瘍径に変化がないため、超音波ガイド下に頬部直上から穿刺を行い、血性膿汁を約10mL吸引した。穿刺翌日に培養でA群溶連菌が検出され、薬剤感受性を確認したうえで入院6日目から抗菌薬をアンピシリン単剤に変更した。結果、腫脹は軽減し、入院15日目に退院となった。その後、腫脹は痕跡を残さず軽快し、神経症状などの後遺症も認めなかった。
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