発行日 2002年9月1日
Published Date 2002/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2003019818
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37歳男.作業中に木枠のトゲが右示指に刺さり,自分で抜去した.2日後,右示指の疼痛,腫脹,発熱が出現し受診した.化膿性腱鞘炎と診断し,パンスポリンの点滴静脈投与を受けたが,示指の壊死性変化を認めた.緊急に指尖から手関節部まで切開し,腱鞘切開,排膿,洗浄を行った.深指屈筋腱にトゲの残存が認められ,これを除去し十分に洗浄した.高熱,頻脈がみられ血圧はやや低めのhyper dynamic stateであり,細菌性ショックの初期の状態と考えられた.手術翌日,一般細菌培養と同時に連鎖球菌抗原の検出を行ったところ陽性であったため,連鎖球菌感染症と診断した.ビクシリンの静脈内投与を開始し,第2中手骨の中央レベルで右示指を切断した.術後,体温は徐々に下がり,WBC,CRPの値も4日後に正常化したため,ビクシリンを漸次減量した.以後,感染の再燃はない.術後1年の現在,中指に軽度の可動域障害が残存したがADL上大きな機能障害はなく,原職に復帰している
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