発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013022234
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食品を介したA群溶血性連鎖球菌(溶連菌)集団感染事例を経験した。障害者支援施設である国立障害者リハビリテーションセンター利用者および職員が発熱・咽頭痛症状を訴えることが相次いだ。症状としては、38~40℃と高熱であったが、いわゆる感冒症状は認めなかった。咽頭後壁発赤、口蓋扁桃腫大を一様に認めた。好中球優位の白血球の上昇を認めた。細菌性感染を疑い抗菌薬を投与し、ほぼ1日で解熱し咽頭痛症状も改善した。食品を介した溶連菌集団感染の事例に酷似していたことから調査を開始した。溶連菌抗原陽性入寮者5例のうち4例および調理師1例でA群溶血性連鎖球菌T型別T-B3264型を検出した。夕食のナムルから同型溶連菌が検出され、食品を介した溶連菌集団感染であることが確定した。その後、昼食のインゲンの胡麻和えからも同型の溶連菌が検出した。調理前後のどの段階で感染したかについては特定できなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2012