発行日 2012年11月1日
Published Date 2012/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2013026106
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43歳男。右中指に棘を刺した後に発熱し同部に腫脹と強い疼痛が出現した。中指は屈曲位で棘創を中心に腫脹を認め、全身性炎症反応症候群の診断基準を満たした。血液検査で炎症反応の上昇、T-Bil上昇を認め、臓器障害を疑い抗生物質アンピシリン/スルバクタム(ABPC/SBT)等を投与した。受傷後7時間で腫脹は中手指節関節部まで拡大し抗生物質クリンダマイシン(CLDM)を追加したが、手背全体に拡大し水疱を形成した。炎症が増悪したため受傷後12時間で手術を行った。屈筋腱に沿って展開し、洗浄とブリードマンを行い、術後、洗浄とABPC/SBT+CLDMを投与した。腱鞘内の膿のストレップ検査、培養検査、腱鞘の病理組織所見より、A群ベータ溶血連鎖球菌による壊死性軟部組織感染症(NSTI)と確定診断した。手指に発生するA群ベータ溶血連鎖球菌によるNSTIは少ない。本症例は早期手術、抗生剤投与にて救命、救指ができ、術後18日目に退院となった。
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