手術症例報告
上腸間膜静脈瘤の1切除例
黒川 敏昭
1
,
福田 晃
,
長浜 雄志
,
安藤 昌之
,
荒井 邦佳
1国立国際医療研究センター病院 外科
キーワード:
肝細胞癌
,
静脈瘤
,
上腸間膜静脈
,
腹部CT
Keyword:
Carcinoma, Hepatocellular
,
Varicose Veins
pp.1371-1376
発行日 2016年9月15日
Published Date 2016/9/15
DOI https://doi.org/10.18888/J00620.2017025636
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症例は79歳男性で、66歳時にS状結腸癌のためにS状結腸切除術を施行された。77歳時、C型肝硬変のフォロー中に肝細胞癌を指摘された。同時に腹部大動脈瘤も指摘された。腹部大動脈瘤に対してステント内挿術、そしてその3ヵ月後に肝細胞癌に対して経皮的エタノール注入療法による治療を行った。肝細胞癌の精査の際に上腸間膜静脈瘤(SMV瘤)も指摘された。肝細胞癌の再発はなかったが瘤の最大径が2年間で3.3→4.8cmへと増大していた。術前のCTでは、脾静脈-門脈合流部の2.5cmほど末梢側で第2空腸静脈の合流部に基部がある4.8×4.5×4.5cmの嚢状の瘤を認めた。破裂の可能性を鑑みて手術を施行した。術後3日目から経口摂取を開始したところ嘔吐を繰り返した。腹部造影CT検査で瘤切除部から門脈本幹にかけての血栓と上部空腸の浮腫性変化を認めた。ヘパリンナトリウムの持続投与を10日間行い、血栓は消失し、更に空腸の浮腫も改善した。術後18日目に退院した。術後2年経過した時点で切除部を含め血栓形成は認めていない。
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