発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010284108
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
57歳男性。患者は他院にてアルコール性肝硬変、食道静脈瘤の通院中であったが、歩行中にふらつき、その場にしゃがみこんでいるところを近くにいた通行人に発見され、著者らの施設へ救急搬送となった。初診時、意識は清明であったが、ショック状態を呈しており、血液検査では黄疸、貧血、肝酵素の症状を認め、便潜血は陽性であった。静脈瘤破裂による消化管出血が疑われ、輸血を開始したものの、経過中に突然腹痛、腹部膨満感が出現した。腹部造影CTでは大量の腹水が認められ、腹腔穿刺で血性腹水が確認された。以上より、本症例は腹腔内出血による出血性ショックと考え、出血源の精査ならびに止血目的で緊急手術が行われた。その結果、手術所見では腹壁の静脈瘤からの出血が確認され、結紮止血した。術後は集中管理が行われ、循環動態は安定していたが、肝不全が進行し、患者は術後2日目に多臓器不全状態となり死亡となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010