症例
胎内での治療に難渋した先天性QT延長症候群の1例
釣谷 充弘
1
,
坂口 平馬
,
永易 洋子
,
澤田 雅美
,
三好 剛一
,
神谷 千津子
,
三宅 啓
,
岩永 直子
,
黒嵜 健一
,
吉松 淳
1国立循環器病研究センター 周産期・婦人科
キーワード:
胎児心拍陣痛図
,
Magnesium Sulfate
,
Mexiletine
,
Propranolol
,
QT延長症候群
,
出生前超音波診断
,
心エコー図
,
人工心臓ペーシング
,
胎児疾患
,
母性年齢35歳以上
,
ミスセンス変異
,
遺伝学的検査
,
胎児治療
,
房室ブロック
,
ERG1 Potassium Channel
,
腔水症
Keyword:
ERG1 Potassium Channel
,
Cardiac Pacing, Artificial
,
Echocardiography
,
Genetic Testing
,
Fetal Diseases
,
Long QT Syndrome
,
Mexiletine
,
Magnesium Sulfate
,
Propranolol
,
Cardiotocography
,
Ultrasonography, Prenatal
,
Mutation, Missense
,
Fetal Therapies
,
Atrioventricular Block
pp.115-120
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/J00535.2016221206
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
36歳(0経妊)。自然妊娠が成立後、妊娠24週0日目に近医にて胎児心エコーを行なったところ、胎児心拍数が197bpmの頻脈と心嚢腋貯留、軽度腹水貯留が認められた。胎児不整脈の診断にて著者らの施設へ紹介転院となり、硫酸マグネシウム1g/h投与による胎児治療を開始したが、妊娠25週1日目には胎児胸水が増加したため硫酸マグネシウムを1.4g/hまで増量した。だが、胎児心拍数は30%程度しか抑制できず、妊娠25週3日目には胎児胸水、腹水、心嚢液は横ばいとなった。そこで、母体の倦怠感を認めたことからインデラルとメキシレチンの併用を開始した結果、胎児心拍は妊娠27週より急に減少し、妊娠28週1日目には胎児腹水は消失した。更に胎児皮下浮腫も減少し、妊娠31週2日目には胎児胸水も消失した。以後、妊娠37週1日目に陣痛発来し、緊急帝王切開術により2010g女児を娩出したが、出生後QTc時間は550msecで、インデラル・メキシレチンで治療を開始、日齢4には2度にわたり房室ブロックが出現したため経静脈的一時的ペーシングを行なった。施行後、日齢5には心外膜ペーシングを縫着してVVI管理となり、その後は心室頻拍は認められていない。
Copyright © 2016, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.