特集 震災時における循環器医療を改めて考える
診る 災害後の深部静脈血栓症を見逃さないために
榛沢 和彦
1
1新潟大学 大学院医歯学総合研究科呼吸循環外科学分野
キーワード:
下腿
,
危険因子
,
災害対策
,
肺塞栓症
,
避難者
,
静脈血栓症
,
地震
,
緊急避難所
Keyword:
Disaster Planning
,
Leg
,
Refugees
,
Pulmonary Embolism
,
Risk Factors
,
Venous Thrombosis
,
Earthquakes
,
Emergency Shelter
pp.1098-1103
発行日 2017年12月9日
Published Date 2017/12/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2018060328
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欧米に比べて日本で震災後に車中泊が多く、避難所で簡易ベッドが使われない「雑魚寝」であることから、深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)や肺塞栓症が多く発生する。これは新潟県中越地震、東日本大震災、熊本地震などから明らかである。したがって、震災後(災害後)ではDVTを見逃さないのではなくDVTがあるはずと考えるべきである。東日本大震災避難所でアメリカ疾病予防対策省(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)の災害避難所環境スコアとDVTとの間に逆相関が認められた。即ち避難所環境が悪ければDVTが多い。簡易ベッド使用はスコアを上げるが、広島土砂災害後で簡易ベッドを導入した避難所でDVTが少なかった。したがって、避難所に簡易ベッド導入を行うべきである。車中泊が多かった熊本地震と新潟県中越地震のエコノミークラス症候群の発症数推移から、マスコミによる車中泊の危険性周知による予防効果が示唆された。したがって、マスコミは人命救助報道と同時に車中泊の危険性周知を行うべきである。
(刊行時の通巻頁数に誤りがありました。本文は修正後の通巻頁数が表示されています。)
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