特集 震災時における循環器医療を改めて考える
診る たこつぼ心筋症と心不全を見逃さない
福井 美保
1
,
合田 亜希子
,
増山 理
1兵庫医科大学 循環器内科
キーワード:
災害対策
,
心エコー図
,
心不全
,
診療録
,
病歴聴取
,
結実因子
,
病勢悪化
,
リスク評価
,
地震
,
心筋症-たこつぼ型
,
早期医療介入
Keyword:
Disaster Planning
,
Echocardiography
,
Heart Failure
,
Medical History Taking
,
Medical Records
,
Precipitating Factors
,
Disease Progression
,
Risk Assessment
,
Earthquakes
,
Takotsubo Cardiomyopathy
,
Early Medical Intervention
pp.1104-1109
発行日 2017年12月9日
Published Date 2017/12/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2018060329
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日本はその地勢学的な理由により、数多くの自然災害を経験し、乗り越えてきた歴史がある。自然災害は甚大な人的・物的被害を引き起こし、人々に精神的・肉体的ストレスを与え、健康状態にも多大な影響を与える。そのなかでも循環器系は最もストレスの影響を受けやすい臓器系の1つであり、その疾患の性格上、急性期の対応が重要となる。1995年の阪神・淡路大震災では急性冠症候群が増加したことが報告され、2004年の新潟県中越地震では肺塞栓症・たこつぼ心筋症が増加したことが報告されている。2011年の東日本大震災ではさらに心不全・心室不整脈が増加し、冠攣縮反応も生じやすくなっていることが明らかになった。本稿では、震災時に増加する心不全とたこつぼ心筋症を見逃さないために、また心不全の悪化をきたさないためにどのようなことができるのか、どのような準備を行うべきかについて概説する。今後、南海トラフ巨大地震や東京直下型大地震が高い確率で発生することが予想されている。自然災害の発生を防ぐことはできないが、過去の知見や経験をふまえ、発災後に生じる被害を減らす、減災のための心構えをもつことが極めて重要となる。
(刊行時の通巻頁数に誤りがありました。本文は修正後の通巻頁数が表示されています。)
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