特集 重症下肢虚血治療Strategy
治す わが国のCLI治療の過去・現在・未来
横井 良明
1
1岸和田徳洲会病院 循環器内科
キーワード:
下肢
,
虚血
,
末梢動脈疾患
,
血管内治療
Keyword:
Ischemia
,
Lower Extremity
,
Endovascular Procedures
,
Peripheral Arterial Disease
pp.1190-1193
発行日 2017年11月9日
Published Date 2017/11/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2018018058
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重症下肢虚血(critical limb ischemia;CLI)は下肢閉塞性動脈硬化症(peripheral arterial disease;PAD)の最終像を示す。多くは重篤な心血管病変を合併し、肢切断、心筋梗塞、脳卒中など死亡に至る重篤な疾患である。2年以内に、25%の死亡、25%の肢切断が予想される。したがって、早期の血行再建が開始され、血行再建による組織壊死部分の回復を期待できない部位の切除が必要になる。歴史的にはCLIの血行再建は外科手術が基本とされていたが、多くは高齢者、冠動脈病変の合併、慢性腎臓病、肺機能障害などを合併し、ほぼ全例が手術高危険群と考えられる。またCLIの病変部位は基本的には膝窩動脈以下(below the knee;BTK)が責任病変のことが多く、いわゆるdistal bypassが必要となる。しかし近年では、endovascular therapy(EVT)とよばれる、カテーテルを用いた血管内治療が普及し、外科手術は減少し、肢切断が減少傾向にあることが報告されている。このようなEVTを用いて80~90%以上の救肢が得られるようになってきている。ただ、わが国では高齢者、糖尿病、透析など欧米と異なった患者群であり、外国の成績がそのまま適応できるわけではない。EVTによる血行再建が基本的な治療となってきているが、BTKは基本的にはバルーンのみの治療であり、限界がある。過去、現在のCLIの血行再建を振り返り、今後の展望について述べる。
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