特集 重症下肢虚血治療Strategy
治す どのような患者に血管内治療が望ましいのか?
飯田 修
1
1労働者健康安全機構関西労災病院 循環器内科
キーワード:
下肢
,
虚血
,
診療ガイドライン
,
治療成績
,
血管内治療
,
保存的療法
,
バイパス術
Keyword:
Conservative Treatment
,
Ischemia
,
Treatment Outcome
,
Practice Guidelines as Topic
,
Lower Extremity
,
Endovascular Procedures
pp.1142-1146
発行日 2017年11月9日
Published Date 2017/11/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2018018051
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近年、血管内治療(endovascular therapy;EVT)は、デバイスの改善および治療手技の標準化から、重症下肢虚血(critical limb ischemia;CLI)症例に対する許容可能な治療効果と安全性が報告され、実臨床においては第一選択治療として考えられてきている。しかしながら、介入直後の治療部位リコイル、治療後中期での高い再狭窄・再治療率は患肢予後に影響を及ぼし、いまだ問題である。重症下肢虚血症例の治療ゴールは、1)安静時下肢痛低減、2)創傷治癒、3)大切断回避、4)QOL(quality of life)改善、5)ADL(activity of daily life)改善、6)生命予後改善である。治療ゴールに到達するためには、絶対的血流が短期(創部治癒)・中期(大切断回避からQOL改善)・長期(再発予防・ADL改善)に必要である。しかしながら、本疾患は、1)患者重症度、2)創傷の重症度、3)血管重症度の観点から、さまざまな"バリエーション"があり画一化した同一疾患としての評価が困難であり、全CLI症例がEVTに適しているわけではないと考える。特に創傷治癒を得るうえで、短期的に絶対的血流が必要であるa)大潰瘍(Rutherford 6)、b)感染併発の創傷に対しては、外科的バイパス術(bypass surgery;BSX)に再発率(中期・長期)および血流量(短期)が劣るEVTは、適さないと著者は現時点では考える。今回本稿においては、ガイドラインおよび最新の臨床研究からのEVTの適したCLI症例に関して述べたい。
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