特集 循環器疾患における栄養管理・食事指導を識る
治す 食事療法で動脈硬化を予防する メタボリックシンドローム対策
丸山 千寿子
1
1日本女子大学 家政学部食物学科
キーワード:
一次予防
,
エネルギー摂取量
,
危険因子
,
食行動
,
食事療法
,
食品中の脂肪
,
体重減少
,
動脈硬化症
,
肥満
,
年齢因子
,
メタボリックシンドローム
,
グリセミックインデックス
,
日本食
Keyword:
Age Factors
,
Arteriosclerosis
,
Energy Intake
,
Diet Therapy
,
Dietary Fats
,
Feeding Behavior
,
Obesity
,
Primary Prevention
,
Risk Factors
,
Weight Loss
,
Metabolic Syndrome
,
Glycemic Index
pp.650-656
発行日 2017年6月9日
Published Date 2017/6/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017260970
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動脈硬化性疾患の一次予防における主要な危険因子は,脂質異常症,高血圧,糖尿病,慢性腎臓病とされている。これらの危険因子は遺伝素因による影響も大きいが,いずれも不適切な食事や運動,飲酒,喫煙などの生活習慣が原因となって発症する生活習慣病である。特に過栄養と運動不足は,内臓脂肪型肥満を上流として脂質異常症,高血圧,糖代謝異常を複数合併するメタボリックシンドロームをひき起こすため,食生活習慣を是正して肥満を解消すればこれらの危険因子を正常化できる。動脈硬化予防においては,複数の危険因子の改善が治療目標となる。薬物療法では多剤を併用することになるが,食事療法では1食あるいは1日の食事にすべての標的成分の目標を満たして食べることで治療する。つまり,日々の食事を「包括的に」是正して,動脈硬化性疾患の複数の危険因子を同時に改善することを目指す。近年の食事療法においては,個別の栄養素摂取量に焦点を当てるだけでなく,さまざまな食材を組み合わせて食べる食べ方としての「食事パターン」に注目することの重要性が指摘されている。本稿では,日本人のための動脈硬化予防的な食事療法の効果について考えたい。
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