特集 循環器疾患における栄養管理・食事指導を識る
識る 「日本人の食事摂取基準(2015年版)」にみる循環器疾患対策
多田 紀夫
1
1柏市立介護老人保健施設はみんぐ
キーワード:
エネルギー摂取量
,
危険因子
,
高血圧
,
脂質異常症
,
食行動
,
食事療法
,
心臓血管疾患
,
糖尿病
,
動脈硬化症
,
肥満
,
生活習慣病
,
食事摂取基準
,
保健指導
Keyword:
Arteriosclerosis
,
Cardiovascular Diseases
,
Energy Intake
,
Diabetes Mellitus
,
Diet Therapy
,
Feeding Behavior
,
Hypertension
,
Obesity
,
Risk Factors
,
Dyslipidemias
,
Recommended Dietary Allowances
pp.603-611
発行日 2017年6月9日
Published Date 2017/6/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017260963
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このほど,「日本人の食事摂取基準(2015年版)」が策定され,平成27年度から平成31年度の5年間にわたり使用されることになった。「日本人の食事摂取基準」は,管理栄養士過程の学生をはじめ,栄養関連の職務に携わる人たちの「バイブル」ともいえるものであり,わが国民の健康保持・増進,ならびに疾病発症の予防に寄与してきた。一方,臨床医にとっては必ずしも身近な存在ではなかった。「日本人の食事摂取基準」はもともと「日本人の栄養所要量」として始まり,5年ごとの策定を経て,平成17年度以来,科学的根拠により栄養素摂取の評価のための参考値を提示するdietary reference intakes(DRI)の概念が導入された。とりわけ,「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では,わが国にみられる高齢化の進展や糖尿病有病者数の増加などを踏まえ,栄養に関連した代謝機能の維持・低下回避の観点から,生活習慣病発症予防に加えて重症化予防も視野に入れた策定となった。ここに至り,高血圧,脂質異常,高血糖,腎機能低下に関して保健指導レベルにあるものに対しても病態の増悪回避を目的とした食生活改善の効用を期する内容が示されるようになった。もとより,高血圧,脂質異常,高血糖,腎機能低下は循環器系疾患発症の主要危険因子である。このように「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では循環器疾患の発症予防を目的とした食事摂取のあり方にも領域を広げ,臨床医の関心も仰げるようになった。
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