特集 成人先天性心疾患 正確な患者評価から適切な治療へ
識る Fontanの病態評価と適切な内科的管理
大内 秀雄
1
1国立循環器病研究センター 小児循環器科
キーワード:
血液循環
,
術後管理
,
中心静脈圧
,
予後
,
Fontan手術
Keyword:
Blood Circulation
,
Central Venous Pressure
,
Postoperative Care
,
Prognosis
,
Fontan Procedure
pp.489-494
発行日 2017年5月9日
Published Date 2017/5/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017220949
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Fontan手術は心室構造異常のため,機能的に体循環維持にのみしか利用できない複雑なチアノーゼ性先天性心疾患(congenital heart discase;CHD)患者に適用される最終的な機能的血行動態修復術である。Fontan手術がCHD領域へ導入されたことにより,修復不可能とされてきた複雑CHD患者の生命予後と生活の質は著明に向上した。しかし,この手術後では体静脈高血圧などの特異な心血行動態は通常の二腔心循環の血行動態とは大きく異なり,術後患者の遠隔期に心不全,不整脈をはじめ,蛋白漏出性胃腸症(protein-losin genteropathy;PLE),肺動静脈瘻(pulmonary atriovenous fistula:PAVF),血栓症,さらに肝硬変などの合併症や続発症の発症が臨床的に大きな問題となってきている。手術後にこのFontan循環にスムーズに順応させ,さらに長期的に良好なこのFontan循環を維持することが術後早期から遠隔期での管理の重要な課題である。この課題の解決策は確立していないのが現状であり,さまざまな取り組みが報告されてきている。
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