特集 成人先天性心疾患 正確な患者評価から適切な治療へ
識る 成人先天性心疾患における肺高血圧を識り、治療を考える
小永井 奈緒
1
,
大郷 剛
1国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門肺循環科
キーワード:
Eisenmenger症候群
,
血管拡張剤
,
心臓疾患-先天性
,
多剤併用療法
,
肺高血圧症
,
予後
,
Phosphodiesterase 5 Inhibitors
,
Endothelin Receptor Antagonists
Keyword:
Drug Therapy, Combination
,
Eisenmenger Complex
,
Hypertension, Pulmonary
,
Heart Defects, Congenital
,
Prognosis
,
Vasodilator Agents
,
Phosphodiesterase 5 Inhibitors
,
Endothelin Receptor Antagonists
pp.495-502
発行日 2017年5月9日
Published Date 2017/5/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017220950
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近年,先天性心疾患(congenital heart disease;CHD)における診断・治療の発展は目覚ましく,より早期の修復術が可能となった。それにもかかわらずCHDに伴う肺高血圧症の患者数は増え続けている。肺高血圧症の分類を表1に示す。第1群の肺動脈性肺高血圧症(pulmonary artery hypertension;PAH)のなかで,CHD-PAHは特発性PAH,結合組織病関連PAHと同程度の患者数がいると報告されている。CHD-PAHは臨床経過中のどの段階においても発症する可能性があり,一度発症すると運動耐容能の低下,QOLの低下,さらには生命予後の悪化を招く2)。特にシャント閉鎖後にPAHを発症した症例は予後不良であることがわかっている。成人後フォローアップが途絶えている症例のなかにCHD-PAH合併例が一定数いると予想される。最近ではCHD-PAHにPAH治療薬を投与すると症状や予後を改善すると報告されており,今まで見過ごされてきたであろうCHD-PAHの症例に改めて注目すべきである。
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