発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005130144
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Fontan手術を行った79例のうち,Down症候群を伴った3症例(D群)を,伴わなかった76症例(ND群)と比較・検討した.手術時年齢は,D群で3.6±0.6歳,ND群で5.8±4.3歳で,両群とも手術死亡例はなく,遠隔死亡はD群1例,ND群4例であった.D群の術前心カテーテル検査所見では,肺動脈indexは十分大きく,肺血管抵抗indexは低値であり,Fontan手術を行う上で肺血管床の発達は十分であると判断した.D群の術後1~2ヵ月の心カテーテル検査では,中心静脈圧は2例が11~12mmHg程度と低く,1例は14~16mmHg程度であった.動脈血酸素分圧は,2例では92~93%であり,1例では検査中の舌根の落ち込みによる低換気により86.3%と低値であったが,下顎挙上と酸素の少量投与により98%となった.術後経過は,1例は両側の乳び胸および呼吸器感染症を併発し術後4ヵ月で死亡し,残り2例は胸水貯留があり,ドレナージの継続と経口脂肪摂取制限により3週間で治癒し,現在外来通院中である.以上より,Down症を伴った症例でも伴わない症例と同様な適応でFontan手術を行うことが可能であり,術後は乳び胸に注意する必要のあることが示された
©Nankodo Co., Ltd., 2005