特集 循環器疾患を有する患者の妊娠・出産
治す 循環器疾患合併妊婦の妊娠・分娩管理 先天性心疾患
大内 秀雄
1
1国立循環器病研究センター 小児循環器科・成人先天性心疾患
キーワード:
運動負荷試験
,
血液循環
,
新生児疾患
,
心臓疾患-先天性
,
身体運動
,
胎児疾患
,
妊娠合併症-心臓血管系
,
ハイリスク妊娠
,
Fontan手術
,
リスク評価
,
Brain Natriuretic Peptide
Keyword:
Blood Circulation
,
Exercise Test
,
Fetal Diseases
,
Infant, Newborn, Diseases
,
Heart Defects, Congenital
,
Pregnancy Complications, Cardiovascular
,
Exercise
,
Risk Assessment
,
Fontan Procedure
,
Pregnancy, High-Risk
,
Natriuretic Peptide, Brain
pp.392-402
発行日 2017年4月9日
Published Date 2017/4/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017201293
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最近の医療の進歩で重症な成人先天性心疾患(adult congenital heartdisease;ACHD)患者が増加している。これらACHD患者では,通常の循環器内科領域ではまれな体心室が右室である修正大血管転位や大血管転位術後の心房内血流転換術後,単心室血行動態である成人Fontan術後,さらには肺高血圧を伴う特異な病態を含む。これらの半数が女性であることから,重症ACHD女性の妊娠,出産は避けられない大きな問題となっている。妊娠中はその進行とともに生体環境が刻々と変化し,特に心血管系には慢性の容量負荷などのストレスが生じる。加えて,出産時には出血などで循環が急激に大きく揺らぐ。さらに,妊娠出産時の中毒症など特有の合併症も存在する。従って,これらの急性と慢性ストレスにいかに心肺予備能の低下した重症ACHD女性が耐えられるか否かを見極めることはきわめて重要である。最近の外国の多施設研究からさまざまな知見が明らかとなってきている。しかし,ACHDの多様性から,いまだに明確なACHD患者の妊娠出産に関する指針は確立していないのが現状である。このレビューでは,これまでのACHD患者の妊娠,出産時の臨床的な合併症の概要と,その合併症の予測に対するこれまでの試みに関する知見を概説したい。
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