腰椎部脊椎内視鏡下手術の適応と限界 PED 内視鏡下腰椎椎間孔形成術

はじめに

腰椎椎間孔狭窄症（lumbar foraminal stenosis） は，広義の脊柱管狭窄症の範疇に属し，椎間孔が 狭くなって下肢痛などの神経症状を引き起こす病 態である1)。椎間孔狭窄の原因としては，まず椎間 板の変性によって椎間板高が減少して，上位椎体 が沈み込むことが挙げられる。これに加えて，後 上方への椎間板の膨隆，黄色靱帯の肥厚，上関節 突起の変形が加わると，さらに椎間孔は狭くなる2) （図1）。この病態の見逃しが，multiple operative back（MOB）の原因となっていることも多いと認識 されているが3)，近年のMRIの発達により，その診 断精度は向上し，治療法も進歩してきている。 腰椎椎間孔狭窄症の手術法としては，脊椎固定 術と椎間孔拡大術の2つがある。脊椎固定術は， 椎間関節を除去することにより椎間孔狭窄部を開 放し，椎弓根スクリューとロッドで後方固定する 方法であり，椎間孔狭窄症のgold standardである と考えられている4),5)。しかし，脊椎固定術は将来 の新たな隣接椎間障害（adjacent segmental disease；ASD）を引き起こすリスクも存在する6)〜8)。 腰椎椎間孔狭窄症に対するもう1つの手術法であ る椎間孔拡大術は，固定せずに狭くなった椎間孔を 拡大して神経根の除圧を図る方法である。当院では， これを最小侵襲で行う目的で，経椎間孔アプローチ による経皮的内視鏡視下椎間板切除術（percutaneous endoscopic discectomy；PED）を応用した経皮的 椎間孔拡大術（percutaneous endoscopic lumbar foraminoplasty；PELF）を行っている9),10)。要する 皮切は8mm程度であり，傍脊柱筋への侵襲は最も 小さく，局所麻酔下に手術施行可能である。 本稿では，当院でPELFを施行した2症例を提示 しつつ，その手術手技を中心に解説する。