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首下がり症候群に対する保存療法
Conservative treatment for dropped head syndrome
宮本 裕史
1
H. Miyamoto
1
1神戸労災病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Kobe Rosai Hospital, Kobe
キーワード:
dropped head syndrome
,
conservative treatment
,
outcome
Keyword:
dropped head syndrome
,
conservative treatment
,
outcome
pp.965-967
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_965
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【要 旨】
目 的:首下がり症候群(dropped head syndrome:DHS)に対する保存療法の成績に関する報告は希少である.本研究の目的は,DHSに対する保存療法の成績を明らかにし,その成績の予後予測因子を明らかにすることである.
対象および方法:76例のDHS患者に保存療法(2~3ヵ月のカラー装着,頚部の可動域訓練,疼痛治療薬の投与)を行い,うち17(男性4,女性13)例(22.4%,平均年齢75.9歳)で治療が奏効した(S群).残りの59例は保存療法無効例(F群)であった.臨床因子とX線学的因子を2群間で比較・検討した.また,S群において治療前と追跡時のX線学的因子を比較・検討した.
結 果:罹病期間はS群で6.6±9.3ヵ月であったのに対して,F群で20.0±27.6ヵ月と有意に長かった.C2~C7角(°),椎体前方すべり(%),後弯の整復性(%),上位胸椎後弯角(°)はS群/F群で各々-19.2±17.5/-34.6±26.6,23.5/62.7,100/52,6.7±8.6/17.9±13.7であり,2群間で有意差があった.S群において,C2~C7角(°)は治療前-19.2±17.5が治療後10.2±20.7と有意に改善していた.
結 論:本研究により,DHSに対する保存療法は,頚椎後弯が改善することにより22%で有効であることがわかった.短い病歴,比較的軽微な後弯変形,椎体前方すべりがなく後弯が整復性であり,かつ上位胸椎で豊富な代償が働いている例は保存療法のよい適応であると考えられた.
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