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症 例.30歳,女.
主 訴:右上肢における鈍痛と脱力感.
家族歴:神経筋疾患なし.
既往歴:片頭痛.
現病歴:数年前から肩こり感が常にあり,右上肢に鈍痛と脱力感を自覚していた.初期は時折の軽度の不快感であったが,仕事(データ入力業務)の負担が増えコンピュータ作業中や重い物を持ち上げた後に症状が増強してきた.前医にて鎮痛薬により一時的に症状が軽減するものの,根本的な改善はみられず,徐々に右前腕の尺側から小指にかけてのしびれが出現してきた.洗髪,ドライヤー動作はつらいため片手で行うようになった.前医では,頚椎MRI,筋電図(EMG)検査(腕神経叢,尺骨神経)において異常はないといわれた.次第に食事で箸をもちにくくなり,コップを時々落とすこともあり,明らかな原因が不明のため当院を紹介され受診した.
初診時所見:身体検査では,皮膚異常,上肢の浮腫,筋萎縮はなく,斜角筋,鎖骨上窩,肩甲骨周囲に圧痛があり,前腕前面のFrohseのアーケードに圧痛を認めた.肘部管では,肘屈曲テストおよびTinel様サインは陽性であった.手根管では,Phalenテスト,Tinel様サインは陰性であった.肩・肘関節可動域に制限はみられず,腱反射異常はなかった.右手の握力は下垂位8kg,挙上位3kg,左手は下垂位24kg,挙上位23kgで右手で極端に低下がみられた.その他の筋力は正常であった.手指の麻痺症状は認めなかった.
特殊検査では,Jacksonテスト,Spurlingテスト陰性であった.Wrightテストで右手の蒼白を認め,Roosテストは15秒程度で陽性となり,上肢のしびれとだるさの増強がみられ,挙上を持続することができなかった.
画像所見:単純X線像,頚椎2方向(図1)で特に異常所見はなかった.
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