首下がり症候群の単純X線像評価指標

Sagittal Radiographic Parameters for Dropped Head Syndrome: A Comprehensive Review

はじめに

　首下がり症患者の病態は複雑で，診察所見や立位全脊柱撮影を含む単純X線像，頸椎MRI，頸椎CTなどをもとにした正確な診断が治療成功の鍵となる．首下がり症に特徴的なQOL障害として，水平視困難および頭部重心の前方移動に伴う頸部愁訴などがある．患者はこれらの症状を，眼球の上転，上位頸椎過前弯や頸椎側屈回旋，胸椎以下の脊柱前弯化，股関節過伸展，膝関節屈曲などによって代償する．近年，頸椎アライメントについても多くの新しい知見が得られてきている．本稿では，首下がり症の病態を理解するうえで重要と考えられる頸椎アライメントについての単純X線指標について解説する．