Japanese
English
連載 最新原著レビュー
成人脊柱変形と腰部脊柱管狭窄症のロコモティブシンドロームの特徴の比較・検討
-――ロコモ25質問票を用いて
Comparative study for characteristics of locomotive syndrome in patients with lumbar stenosis and adult spinal deformity
大場 哲郎
1
,
後藤 豪
1
,
小田 洸太郎
1
,
田中 伸樹
1
,
横道 洋司
2
,
波呂 浩孝
1
T. Ohba
1
,
G. Goto
1
,
K. Oda
1
,
N. Tanaka
1
,
H. Yokomichi
2
,
H. Haro
1
1山梨大学整形外科
2山梨大学社会医学科
1Dept. of Orthop. Surg., Graduate School of Medical Science, University of Yamanashi, Chuo
キーワード:
adult spinal deformity
,
lumbar spinal stenosis
,
locomotive syndrome
Keyword:
adult spinal deformity
,
lumbar spinal stenosis
,
locomotive syndrome
pp.1083-1085
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_1083
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
【要 旨】
目 的:成人脊柱変形(ASD)と腰部脊柱管狭窄症(LSS)はどちらも診断・治療する機会が多い疾患であるが,手術療法となると方針は大きく異なる.鑑別診断には画像評価が主に用いられているが,それぞれの特徴的な症状を知ることは重要である.本研究の目的は,当院で手術療法を受けた症例を対象として術前のロコモティブシンドローム(以下,ロコモ)の重症度およびロコモ25チェックシートの項目別に比較をし,それぞれのロコモの特徴を比較することである.
対象および方法:当科でASDに対して手術を施行して術前にロコモ評価をしえた69例(平均年齢72.8歳,女性62例)とLSS 196例(平均年齢74.6歳,女性172例)を対象とした.術前に立ち上がりテスト,2ステップテスト,ロコモ25質問票を測定し,ロコモ度を1~3で分類した.ロコモ25質問票ごとにASDとLSSで比較・検討した.
結 果:両群間の年齢,性別に有意差はなく,全例がロコモ陽性であった.ASDは81%が,LSSは86%がもっとも重症なロコモ度3であり,ロコモの頻度および重症度には有意差がなかった.ロコモ25質問票のうち,Q3(下肢の痛み)についてはLSSが有意に重症であり,Q8(着衣の着脱),Q11(お風呂で体を洗う),Q20(やや重い家事)についてはASDが有意に困難であった.
結 論:ASDとLSSのロコモ重症度は同等であった.日常生活で困難な項目は両疾患で異なり診断に有用である.
© Nankodo Co., Ltd., 2024