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【要 旨】
目 的:腰椎変性すべり症による腰椎脊柱管狭窄症は,脊椎手術のもっとも一般的な適応の一つである.しかし,その長期転帰(10年以上)に影響を与える要因はいまだ不明である.本研究の目的は,腰椎変性すべり症に対するインストゥルメンテーション手術の長期成績に影響を与える要因を明らかにすることである.
対象および方法:本研究は,ランダム化比較試験の事後解析である.インストゥルメンテーション手術が施行された腰椎変性すべり症による単一L4/L5レベルの腰部脊柱管狭窄症をもつ75歳以下の患者を対象とした.さまざまな術前の患者因子と日本整形外科学会腰痛疾患治療成績判定基準(JOAスコア)の長期改善率の相関関係および関連性について,Spearman相関分析と回帰分析を用いて検討した.
結 果:42例が対象となり,うち25例が後側方固定術(PLF),17例がGraf制動術を施行されていた.平均術後経過観察期間は12.5年であった.Spearman相関分析において,長期JOA改善率は術前の腰痛visual analogue scale(VAS)スコアと相関していた.単変量回帰分析では,性別,腰痛VASスコア,およびshort form(SF)–36全体的健康感スコアが長期JOA改善率と有意に関連していた.多変量ステップワイズ回帰分析の結果,腰痛VASスコアが長期JOA改善率と関連していた.
結 論:腰椎変性すべり症に対するインストゥルメンテーション手術後の長期JOA改善率の予測因子は,術前の腰痛VASスコアであった.したがって,腰椎変性すべり症の患者に対してPLFまたはGraf制動術を行う際には,術前の腰痛の強さに注意を払い,これらの手術により長期的に患者の症状を改善しうるかを検討する必要がある.
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