Japanese
English
経験と考察
片側人工股関節全置換術と対側人工膝関節全置換術の両側同時手術の中・短期成績
Mid- to short-term outcomes of simultaneous bilateral surgery with unilateral total hip arthroplasty and contralateral total knee arthroplasty
泉 亮良
1
,
中村 謙介
1
,
齊木 寛
2
A. Izumi
1
,
K. Nakamura
1
,
H. Saiki
2
1さいたま赤十字病院整形外科
2中田病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Saitama Red Cross Hospital, Saitama
キーワード:
simultaneous bilateral surgery
,
coxitis knee
,
direct anterior approach
Keyword:
simultaneous bilateral surgery
,
coxitis knee
,
direct anterior approach
pp.957-960
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_957
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は じ め に
股関節と膝関節の変形性関節症(OA),関節リウマチ(RA)による関節症,骨壊死(ON)などの関節疾患に対する手術的治療として,人工股関節全置換術(THA)と人工膝関節全置換術(TKA)の除痛効果は大きく,歩行能力や日常生活動作(ADL)改善を獲得できる有用な術式である.またOAやRAの股関節症,膝関節症,特発性大腿骨頭壊死症の両側罹患例は多くみられ,両側とも手術適応の場合もあり,施設によっては両側同時あるいは同日手術を行われており,その成績や安全性については多くの報告がある1~3).一方,股関節と膝関節の両方を罹患しているOA・RA患者や,いわゆるcoxitis kneeのような股関節OAの代償性に膝OAを発症している患者がしばしばみられるが,治療原則は体幹に近い股関節から行い,次に膝の治療を行うというものである.
当科では,① 股関節症よりも末期膝関節症が主たる歩行障害の原因となっているcoxitis kneeの患者,② 股関節と膝関節がどちらも末期関節症となっており歩行障害をきたしている患者,③ RAで股関節と膝関節のどちらも関節破壊が著しい患者を適応として,十分なインフォームド・コンセントを得た後に仰臥位前方進入法(DAA)を用いることで片側THAと対側TKAを同時に行っている.本術式のまとまった報告は渉猟しえた限りではなく,中・短期成績ではあるが良好な結果を得ているため報告する.
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