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【要 旨】
目 的:胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD)は,成人脊柱変形(adult spinal deformity:ASD)による腹部圧迫症状の一つとして報告されており,脊柱矯正手術により症状が改善する例があることが報告されている.一方,GERD症状の術後中長期的な改善については報告がない.そこで本研究においてASDに対する脊柱矯正術後,最低2年間のGERD症状の推移を調査した.
対象および方法:脊柱矯正手術を受けたASD患者230例(平均年齢64歳)において,GERDの診断のため胃食道逆流症質問票(frequency scale for the symptoms of gastroesophageal reflux disease:FSSG)と脊柱骨盤X線パラメータを術前および術後6ヵ月,1年,2年,5年で調査した.
結 果:術前90例(39%)の患者が,GERD診断のcut-off値であるFSSGスコア8点以上であった.X線パラメータは術前後で,局所,全脊柱アライメントともに改善した.術前FSSGスコア8点以上の患者(16.1±7.3点)においては,術後6ヵ月の時点で平均7.7±7.4点へと有意に改善した(p<0.001).術後平均FSSGスコアの経時的変化と術後6ヵ月との比較では,1年(9.9±8.2,p=0.061),2年(9.7±8.2ポイント,p=0.086),5年(9.4±8.0ポイント,p=0.177)と術後5年まで改善が維持された.また,GERD群では,62例(69%)で術後FSSGスコアの改善がみられた.
結 論:ASD患者のうち,39%がGERDと診断された.そのうち69%で,脊柱矯正術後にGERDの症状が改善し,術後5年まで維持された.
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