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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌鼻腔培養とドレーン培養の結果は術後感染を予測しうるか?
-――4,573例の単施設脊椎手術患者の後方視的観察研究
Methicillin-resistant Staphylococcus aureus nasal swab and suction drain tip cultures in 4573 spinal surgeries;efficacy in management of surgical site infections
川畑 篤礼
1
A. Kawabata
1
1東京医科歯科大学整形外科
1Dept. of Orthop. and Spinal Surgery, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo
キーワード:
drain tip culture
,
MRSA nasal swab culture
,
SSI
,
spinal surgery
Keyword:
drain tip culture
,
MRSA nasal swab culture
,
SSI
,
spinal surgery
pp.85-87
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_85
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【要 旨】
目 的:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)鼻腔培養とドレーン培養の術後感染症の発症との関連性について調査することである.
背 景:MRSA鼻腔培養とドレーン培養は脊椎手術における日常診療で広く行われているが,それらの結果が術後感染の予測因子となるかについてはわかっていない.
対象および方法:本研究は2008年1月~2014年12月に単施設で行った脊椎患者4,573例について後ろ向きに調査したものである.抗菌薬は術後2日までセファゾリンを投与しており,MRSA鼻腔培養,ドレーン培養は全患者から採取している.術後感染については米国疾病予防センターの基準をもとに電子カルテを調査し認定した.
結 果:4,573例のうち,術後感染は94例(2.1%)に認めた.そのうち,細菌が創部培養で検出されたものは87例であった.MRSA鼻腔培養は49例(1.1%)で陽性であった.MRSA鼻腔培養の陽性患者と陰性患者で術後感染率に有意差はなかった.ドレーン培養は382例(8.4%)で陽性であった.そのうち28例に術後感染が発生した.ドレーン培養陽性患者では陰性患者に比べて有意に術後感染が多かった.術後感染があり,かつドレーン培養も陽性だった患者28例のうち,16例(57.1%)で創部の菌とドレーンから培養された菌が一致した.
© Nankodo Co., Ltd., 2020