書評
『痛み治療のための超音波ガイド下神経ブロック実践テキスト』
小澤 浩司
1
1東北医科薬科大学整形外科教授
pp.84-84
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_84
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- 文献概要
現在,超音波(エコー)診断装置を使いこなせることが,整形外科医にとって必須の技能になりつつある.超音波診断は小児股関節疾患,腫瘍の診断などで使われていたが,鮮明な像が得られない場合があることや,習熟しないと手技,読影ともむずかしいことから,多くの整形外科医にとって日常的に行われる検査ではなかった.しかし超音波診断は,検査する場所を選ばず,患者に特別な準備を必要としないことや,患者,医療者にとってX線被曝がなく,非侵襲的な検査であるという大きな利点がある.近年,小さくて扱いやすく高解像度の超音波診断装置が普及してきたことから,整形外科でも一般的な検査になってきた.また,超音波検査は診断のみではなく,神経ブロック施行時にもきわめて有用である.従来,神経ブロックは透視を用いるか,体表から触れる骨性隆起,圧痛を指標に盲目的に行われてきた.超音波診断装置を用いることで,解剖を確かめながら針を刺入して薬液を注入することができ,血管・神経損傷の危険性が大きく下がった.
本書は,島根大学麻酔科教授・齊藤洋司先生,獨協医科大学越谷病院麻酔科教授・奧田泰久先生の編集のもと,経験豊富な麻酔科・ペインクリニックの医師らによって執筆された,ペインクリニックとしての超音波ガイド下神経ブロック法のテキストである.本書の特徴は二つある.
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