誌説
改ざんと科学研究
西村 慶太
1
1帝京大学整形外科教授
pp.804-804
発行日 2018年7月1日
Published Date 2018/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_804
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巷では改ざんが話題になっている.「言った,言わない」,「そんなこと記憶にない」,「改ざんではなく修正だ」などは遠い政治の話で科学研究の世界とは無縁と思いきや,問題が明らかになるにつれ,我々の周囲で起こりうる身近な問題ではないかと思えてならなくなってきた.もっとも本誌が出るころには問題は収束し話題がタイムリーでないことを願うが,せっかくなのでこれを機に科学の世界における改ざん問題について考えてみたい.
科学研究の不正行為には ① データの捏造・改ざん,② 剽窃(ひょうせつ)が主にあげられる.「捏造」とは存在しないデータを存在するかのように示すことであり,「改ざん」は得られたデータを都合よく変えることである.一方「剽窃」とは盗用のことで,他人のデータやアイディアを適切に引用せずにあたかも自分のもののようにして偽って示すことである.
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