連載 そのカルテ,大丈夫ですか?誤解を避ける記載術・5
―「訂正は慎重に」②―加筆と改ざんは紙一重
神田 知江美
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1かすが・國塚法律事務所
pp.771
発行日 2014年5月10日
Published Date 2014/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107557
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◎加筆と訂正
前回,「事実を正しく認定してもらう」ために「訂正は慎重に」行う必要があることを説明しました.
では,「加筆」はどうでしょう.皆さんの中には,「加筆は訂正ではない」と気軽に考えている方もいるのではないでしょうか.特に,診療中何らかの問題が起こった際には,カルテなどを見直して,足らないと思われる部分は補足をし,体裁を整えたくなると思います.よくみかけるのは,バイタル,検査値,画像所見の書き込みなど,「患者をきちんと診ていたよ」というアピールのための加筆です.しかし,そのような加筆は,後日第三者がみると,かえってうしろめたさが強調され逆効果です.さらに,加筆内容や加筆時期によっては「改ざん」と言われかねません.また,診療経過中に不明な部分がある場合,それを「推測」で埋めようとするのは危険です.もしも,それがほかの事実と矛盾していたりすると,「改ざん」を疑われ,カルテ全体の信用性が低下します.そうすると,裁判官の心証が悪くなり,結果的に敗訴へつながります.
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