Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
頚椎後縦靱帯骨化症(C-OPLL)脊髄症に対する手術療法において,椎弓形成術(laminoplasty:LAMP)は比較的安全に行え,長期にわたり良好な手術成績が維持される優れた術式である1,2).ただ,神経圧迫の原因となる骨化巣は脊髄前方に位置するため,脊髄の後方移動によって間接的に除圧を得る同術式は,大きな骨化巣や後弯アライメントには適しておらず,頚椎前方除圧固定術(anterior decompression with fusion:ADF)もしくは後方除圧固定術(posterior decompression with fusion:PDF)が推奨される1,3).
われわれは今まで,主に骨化占拠率(canal narrowing ratio:CNR)と頚椎アライメントをもとにこれら3術式を選択し,アライメント不良がない小さな骨化巣に限ってLAMPを行ってきた(図1).しかし,術前に頚椎前弯が保たれている症例に椎弓形成術を行っても,術後に後弯化を起こし,成績不良となる例が散見された.これら症例の術前危険因子がわかれば,椎弓形成術の適応をより適切に行えるであろう.
近年,胸腰椎同様に頚椎でも頭蓋骨との関係に注目した頚椎矢状面バランスという概念が提唱され,cervical sagittal vertical axis(SVA)やTh1(C7)slopeなどの頚椎矢状面バランスパラメータが健康関連生活の質(HR-QOL)に影響を及ぼすことがわかってきた4~6).そこで本稿では,術前の頚椎矢状面バランスパラメータが術後成績に与える影響を後ろ向きに調査し,術式選択が適当であったかを再考した.
© Nankodo Co., Ltd., 2018