Japanese
English
特集 脊柱靱帯骨化症研究の進歩
Ⅴ.術後評価
4.圧迫性頚髄症手術前後の転倒による症状悪化
Fall-related deteriration of subjective symptoms in patients with cervical myelopathy
木村 敦
1
A. Kimura
1
1自治医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Jichi Medical University, Shimotsuke
キーワード:
cervical myelopathy
,
deterioration
Keyword:
cervical myelopathy
,
deterioration
pp.635-639
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_635
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
内閣府の調査による平成29年度高齢者社会白書によると,65歳以上の高齢者が要介護となった原因として,「骨折・転倒」が12.2%と報告されており,「脳血管疾患」17.2%,「認知症」16.4%,「高齢による衰弱」13.9%に続く第4位を占めている.高齢化社会において健康寿命を延長するためには,転倒による外傷の予防が重要な介入ポイントとなる.
転倒者の約10%が骨折を含む重度の外傷を受傷し,大腿骨近位部骨折,脊椎圧迫骨折,橈骨遠位端骨折などの骨脆弱性骨折が大半を占める1).欧米の先進国においては,大腿骨近位部骨折の発生数は減少傾向にあるといわれているが,一方で転倒に伴う重度の頭部外傷や,頚椎の骨折,脊髄損傷の発生率が急激に増加していることが指摘されている2,3).しかしながら,日本国内の転倒に伴う頭頚部外傷の発生頻度と,その予後に関しては不明の点が多い.
本稿ではまず高齢者における転倒の疫学,リスク評価,およびその予防策について過去の研究を要約する.後半部分では,最近われわれが行った頚椎後縦靱帯骨化症(OPLL)症例を含む圧迫性頚髄症患者の転倒と,転倒に伴う神経症状悪化に関する研究について述べる.
© Nankodo Co., Ltd., 2018