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連載 最新原著レビュー
圧迫性頚髄症患者の転倒による自覚症状悪化に関する検討
Fall-related deterioration of subjective symptoms in patients with cervical myelopathy
木村 敦
1
A. Kimura
1
1自治医科大学整形外科
1Dept. of Orthopaedics, Jichi Medical University, Shimotsuke
キーワード:
cervical spine
,
myelopathy
,
fall
Keyword:
cervical spine
,
myelopathy
,
fall
pp.1183-1185
発行日 2018年10月1日
Published Date 2018/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_1183
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【要 旨】
目 的:頚椎手術前後の転倒による自覚症状悪化の発生率と,これが機能回復に与える影響を明らかにすることである.
対象および方法:2012年1月~2013年12月に全国12の協力施設で圧迫性頚髄症に対する手術を行い,術後1年以上の経過観察ができた患者を対象とした.データ収集は診療録の調査に加え,経過観察時にアンケート調査を行い,術前と術後1年間の転倒数,転倒時の状況,転倒時に自覚症状の変化があったかについて後ろ向きに調査した.
結 果:360例の頚髄症術後患者が調査対象となった.術前1年間では177例(49%)が,術後1年間では105例(29%)が1回以上転倒していた.術前の転倒で40例が転倒による手足のしびれの悪化を,65例(18%)が手足の動きの悪化を自覚していた.転倒による手足のしびれの悪化と動きの悪化は,術後にそれぞれ22例(6%)と5例(1%)と大きく減少した.術前に転倒による手足の動きの悪化を自覚した患者は,悪化がなかった患者に比較して術後1年時の日本整形外科学会頚髄症治療成績判定基準(JOAスコア)が有意に低値であった.
結 論:圧迫性頚髄症患者における転倒に伴う自覚症状の悪化はまれではなく,転倒による自覚症状の悪化は機能回復不良につながっていた.手術的治療は転倒の頻度だけではなく,転倒による症状悪化の頻度を有意に減少させた.
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