Japanese
English
特集 脊柱靱帯骨化症研究の進歩
Ⅴ.術後評価
5.頚髄症術後成績の経時変化
Time-dependent changes in clinical and radiographic outcomes after surgery for cervical myelopathy
海渡 貴司
1
,
藤原 啓恭
2
,
武中 章太
1
,
牧野 孝洋
1
,
坂井 勇介
1
,
吉川 秀樹
1
T. Kaito
1
,
H. Fujiwara
2
,
S. Takenaka
1
,
T. Makino
1
,
Y. Sakai
1
,
H. Yoshikawa
1
1大阪大学整形外科
2大阪南医療センター整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Osaka University Graduate School of Medicine, Suita
キーワード:
cervical myelopathy
,
Japanese Orthopaedic Association Cervical Myelopathy Evaluation Questionnaire(JOACMEQ)
,
OPLL
,
cervical spondylotic myelopathy
,
surgical outcome
Keyword:
cervical myelopathy
,
Japanese Orthopaedic Association Cervical Myelopathy Evaluation Questionnaire(JOACMEQ)
,
OPLL
,
cervical spondylotic myelopathy
,
surgical outcome
pp.640-643
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_640
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は じ め に
頚部脊髄症の手術治療成績評価法には,1975年に策定された日本整形外科学会頚髄症治療成績判定基準(JOAスコア)1)が本邦のみならず欧米においても広く普及し使用されている.JOAスコアは頚髄症患者の詳細な観察のもとexpert opinionに基づき作成された医療者(医師)の評価法であるが,患者(受療者)立脚評価ではないこと,点数の重み付けの科学的根拠が乏しいこと,信頼性の検証がなされていないことなどが指摘されてきた.そこで2007年に日本整形外科学会は新規患者立脚型の頚部脊髄症評価法として日本整形外科学会頚部脊髄症評価質問票(JOACMEQ)を公表した2~5).JOACMEQは24の質問に対する回答から5因子[頚椎機能,上肢機能,下肢機能,膀胱機能,生活の質(QOL)]を0~100ポイントで数値化することが可能であり,JOAスコアでは評価できなかった頚椎機能[頚椎可動域(ROM),頚部痛・肩こり]やQOLを評価できる.JOACMEQを用いることで頚髄症と後縦靱帯骨化症(OPLL)の臨床成績の違いや手術治療効果に影響を与える因子をより詳細に解析することが可能となった.われわれはJOACMEQを用いて,①各種上肢機能評価との相関と術前後の経時変化,②頚椎症性脊髄症(CSM)と頚椎後縦靱帯骨化症(OPLL)におけるJOACMEQ経時変化(特に術前後頚部痛・頚椎機能に関する違い),③頚椎矢状面アライメントが与える影響について報告してきた.それらの研究内容について概説しJOACMEQの有用性および可能性について論じたい.
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