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特集 脊柱靱帯骨化症研究の進歩
Ⅳ.手術的治療の研究
9.高リスク胸椎後縦靱帯骨化症に対する術中脊髄モニタリング
Intraoperative neuromonitoring for ossification of the posterior longitudinal ligament
吉田 剛
1
,
小林 祥
1
,
松山 幸弘
1
G. Yoshida
1
,
S. Kobayashi
1
,
Y. Matsuyama
1
1浜松医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Hamamatsu University School of Medicine, Hamamatsu
キーワード:
intraoperative neuromonitoring(IONM)
,
thoracic
,
OPLL
,
neurological deficit
,
motor paresis
Keyword:
intraoperative neuromonitoring(IONM)
,
thoracic
,
OPLL
,
neurological deficit
,
motor paresis
pp.612-616
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_612
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は じ め に
胸椎後縦靱帯骨化症(胸椎OPLL)に対する手術的治療は保存的治療に比べその治療効果が高い一方,手術神経合併症発生率が非常に高率で,本邦では過去に24~33%の神経障害発生が報告されている2~5).つまり胸椎OPLLは脊椎外科医が手術的治療にもっとも難渋する疾患の一つであるといえる.胸椎OPLLでは神経合併症を回避するために術式(前方,後方法)選択などのさまざまな対策が講じられてきたが5),麻痺のない良好な成績を収めることはいまだになされていないのが現状である.
術中脊髄モニタリングは術中に脊髄の中枢,または末梢を刺激することで,脊髄伝導路を介した誘発電位の変動を監視する機能診断法である.患者を覚醒することなく,手術中on timeに脊髄障害を察知しうる唯一の方法であり,神経合併症の多いハイリスク脊椎手術には不可欠である.最近は,モニタリングのマルチモダリティが推奨され,その成績は感度,特異度とともに90%以上の報告が多く良好である6~8).なかでも経頭蓋電気刺激誘発電位[Br(E)-MsEP]は運動路を監視することができ,ほかの脊髄モニタリング法である体性感覚誘発電位(SSEP)や経頭蓋電気刺激脊髄誘発電位[Br(E)-SCEP,D-wave]と組み合わせることでさらに高感度のモニタリングが可能となっている.
© Nankodo Co., Ltd., 2018