Japanese
English
特集 脊柱靱帯骨化症研究の進歩
Ⅳ.手術的治療の研究
1.脊柱靱帯骨化症の術中モニタリングに関する多施設前向き研究
Nation survey for intraoperative monitoring of ossification of posterior longitudinal ligament
伊藤 全哉
1
,
松山 幸弘
2
,
安藤 宗治
3
,
川端 茂徳
4
,
寒竹 司
5
,
田所 伸朗
6
,
小林 祥
7
,
藤原 靖
8
,
山田 圭
9
,
山本 直也
10
,
和田 簡一郎
11
,
高橋 雅人
12
,
谷 俊一
13
Z. Ito
1
,
Y. Matsuyama
2
,
M. Ando
3
,
S. Kawabata
4
,
T. Kanchiku
5
,
N. Tadokoro
6
,
S. Kobayashi
7
,
Y. Fujiwara
8
,
K. Yamada
9
,
N. Yamamoto
10
,
K. Wada
11
,
M. Takahashi
12
,
S. Tani
13
1名古屋大学整形外科
2浜松医科大学整形外科
3和歌山ろうさい病院脊椎外科
4東京医科歯科大学整形外科
5山口大学整形外科
6高知大学整形外科
7浜松医科大学整形外科
8安佐市民病院整形外科
9久留米大学整形外科
10東京女子医科大学八千代医療センター整形外科
11弘前大学整形外科
12杏林大学整形外科
13くぼかわ病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Nagoya University, Nagoya
キーワード:
Br(E)-MsEP
,
alarm point
,
thoracic OPLL
Keyword:
Br(E)-MsEP
,
alarm point
,
thoracic OPLL
pp.572-575
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_572
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は じ め に
われわれは日本脊椎脊髄病学会モニタリングワーキンググループで経頭蓋刺激運動筋誘発電位(Br-MEP)におけるアラームポイントを検討してきた.まず疾患を絞るのではなく脊椎手術全般においてどのような傾向があるかを報告した1).しかし疾患・術式の違いによりアラームポイントは大きく異なることに気づき,日本脊椎脊髄病学会モニタリングWGは疾患別のアラームポイントを検討することにいたった.特に,胸椎OPLLは比較的まれな疾患でありOhtsukaらは胸椎OPLLの頻度を一般住民の0.8%と報告しており患者数は少ない2).また,PhamらはOPLLの保存療法で48.7%の患者が症状の増悪を認めたと報告しており3),そのため胸椎OPLLは観血的治療が選択されることが多い.本邦ではMatsumotoら4,5)が過去に胸椎OPLLに対する術後結果の全国調査を報告しており,少しでも術後麻痺増悪を減らすべき検討を行うことは急務である.われわれは2010~2011年に日本脊椎脊髄病学会モニタリング委員会による多施設調査を全国的に施行し,波形が30%以下へ低下した症例の術後麻痺の程度を調査し,MMT低下度と術中波形低下の両項目の相関を検討した結果,麻痺の臨界点がBr-MEPにおいてコントロール波形の15%であることを報告した.今回の研究の目的は,2012~2015年に同様に多施設調査を全国的に施行し,そのデータを元にBr-MEPにおける波形変化のタイミング,すなわち術中に麻痺を呈したと考えうる操作を再検討することと,胸椎OPLLにおけるアラームポイント(麻痺を未然に防ぐタイミング)を検討することである.
© Nankodo Co., Ltd., 2018