Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
頚椎後縦靱帯骨化症(OPLL)は,後縦靱帯が骨化することにより脊柱管狭窄をきたし,進行すると脊髄障害を引き起こす疾患である.脊柱靱帯骨化症の病態の解明,特に骨化進展の把握は,治療方針や手術術式の決定を左右するため,重要な意味をもつ.
これまでに,骨化進展については複数の報告があり,後方除圧術後には約70%の症例に骨化進展がみられること1~6),非手術例に比べ手術例でより多くの進展がみられる4,7)ことは,広く知られている.骨化進展の危険因子としては,年齢(壮年>中・高年),骨化形態(混合型・連続型>分節型),高い日本整形外科学会頚髄症治療成績判定基準(JOAスコア),広い脊柱管前後径などが指摘されている1~6).また,頚椎可動性が骨化を刺激し骨化進展をうながし,逆に安定化は進展を抑制するのではないかとの仮説も存在するが3,6),明確な証明はされていなかった.これまでの報告から,多くの症例で骨化巣が進展すること,手術例は非手術例より骨化進展しやすいことについては,否定する報告はないが,骨化進展危険因子は年齢を例にとっても,骨化進展との間に相関がなかったとする報告も存在し8,9),進展危険因子としてコンセンサスが得られている項目は多くない.
その原因の一つとして,過去の多くの報告が,X線側面像よりマニュアルあるいはコンピュータ測定システムで骨化巣の計測を行っていたことがあげられる1~5,8,9).これらの計測は,長軸方向の進展評価が主であり,肩が干渉する尾側方向の進展や骨化巣幅の評価が困難であった.骨条件CTから骨化巣の長さや厚さを計測している最近の報告もあるが10,11),長さ,厚みといった二次元解析を基本としている.したがって,これまでは三次元の構造体である骨化巣を正確に評価できていなかった可能性がある.
© Nankodo Co., Ltd., 2018