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特集 脊柱靱帯骨化症研究の進歩
Ⅲ.骨化症の病態
1.後縦靱帯骨化症における高感度CRPの意義
Hypersensitive CRP in OPLL
川口 善治
1
Y. Kawaguchi
1
1富山大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Faculty of Medicine, University of Toyama, Toyama
キーワード:
OPLL
,
hs-CRP
,
biomarker
Keyword:
OPLL
,
hs-CRP
,
biomarker
pp.546-550
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_546
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は じ め に
後縦靱帯骨化症(OPLL)は,本来靱帯である組織がなんらかの影響で骨組織に変化し,その結果脊柱管を狭小化して脊髄症などの神経症状を引き起こす疾患である.現在厚生労働省の難病に指定されており,脊柱靱帯骨化症研究班の班会議も組織されている.本疾患は1960年,日本で月本によってはじめて報告された1)にもかかわらず,原因はいまだ不明である.本疾患には遺伝性が認められることから,これまで疾患関連遺伝子を探る多くの研究がなされており,2014年にはGWASで6つの遺伝子の関与が明らかにされた2).一方,これまでにいくつかのバイオマーカーがOPLLとかかわっているという知見が報告されている.血清リン3)(carboxyterminal propeptide of human type 1 procollagen:PICP)4,5),intact osteocalcin4,5),osteocalcin5),insulinogenic index(インスリン分泌指標)6),leptin7),pentosidine8),sclerostin9,10)であるが,これらは血液を用いた測定でOPLLとコントロールの間で有意差が認められたものとして報告されている(表1).しかしこれらのバイオマーカーはいわゆる骨代謝,脂質代謝および糖代謝にかかわるものであり,測定項目としては一般的なものではなかった.われわれはより簡便なバイオマーカーをみつける目的で,CRPをターゲットとして研究を行った.
© Nankodo Co., Ltd., 2018