特集 内科医に知ってもらいたい シン・腎臓診療
[Chapter 4] 腎臓内科での使い方から学ぶ! 最近よく見るあの薬
HIF-PH阻害薬による腎性貧血治療
-ESAとどう使い分ける?
鶴屋 和彦
1
1奈良県立医科大学 腎臓内科学
キーワード:
慢性腎臓病(CKD)
,
赤血球造血刺激因子(ESA)
,
低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)
Keyword:
慢性腎臓病(CKD)
,
赤血球造血刺激因子(ESA)
,
低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)
pp.96-101
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika136_96
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★★★慢性腎臓病(CKD)患者における腎性貧血治療には,長年にわたり赤血球造血刺激因子(ESA)が用いられてきたが,近年では低酸素プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬が新たな治療選択肢として登場した.
★★ESAが赤血球産生を直接刺激するのに対し,HIF-PH阻害薬は生理的な低酸素応答経路を活性化することにより内因性エリスロポエチン(EPO)産生を誘導し,さらに鉄代謝の調節にも関与するなど,多面的な作用を有している.
★★HIF-PH阻害薬は経口投与が可能であり,通院頻度の軽減や患者のQOLの向上に寄与する利点がある.また,鉄利用効率の改善を介してヘプシジン産生を亢進させ,ESAへの反応性が低下しやすい炎症合併例においても貧血是正効果を示す可能性が報告されている.
★★一方で,安全性に関する懸念も存在し,血栓塞栓症のリスクが指摘されているほか,ロキサデュスタットにおいては中枢性甲状腺機能低下症との関連性も報告されている.悪性腫瘍の発生や心血管イベントリスクに関しては,これまでの臨床試験ではESAとの間に有意な差は認められていない.
★★★:一般内科診療で必要な内容,★★:総合内科専門医試験レベルの内容,★:専門性の高い内容

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