特集 エキスパートがお答えします! 日常臨床のあるあるの疑問
第6章:内分泌
肥満症患者の食事指導は炭水化物制限とするべきでしょうか?
小野 啓
1
1千葉大学 糖尿病・代謝・内分泌内科
pp.512-514
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika130_512
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お答えします 本邦における肥満症に対する食事療法の標準的な考え方はカロリー制限(CR)です.これに対し,炭水化物制限(LCD)は食事の炭水化物を8~45%に制限する方法であり,CRとは異なる手法です.米国を中心に,CRとLCDのいずれが肥満症や糖尿病の治療に有効か,長年の論争が続いています.少なくとも短期的には,LCDはCRに比べて減量率や代謝改善作用が大きいようです.しかし,長期的な安全性についてLCDが予後を悪化させるとの報告もあります.このため,すべての肥満症に対してLCDを推奨するべきとはいえませんが,CR以外の食事療法に関する知識をもっておくべきと考えます.
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