特集 エキスパートがお答えします! 日常臨床のあるあるの疑問
第5章:肝・胆・膵
腹部エコーで膵囊胞が見つかった場合に必ず精密検査が必要でしょうか?
蘆田 玲子
1
,
江守 智哉
2
1和歌山県立医科大学 内科学第二講座
2和歌山ろうさい病院 消化器内科
pp.497-501
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika130_497
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お答えします 人間ドックや健康診断の普及,他疾患に対する精査や経過観察時の画像検査で偶然診断される膵囊胞が近年増加しています.一方で,膵囊胞の鑑別診断は決して容易ではなく,膵囊胞は膵がんの間接的所見だけでなく,経過観察してよいものと外科的治療を検討すべきものとさまざまであり,治療方針を決定するための鑑別診断が重要となります.また,膵囊胞のなかでもがん化リスクのある病変は厳重な経過観察と必要に応じた早期の外科的治療の介入が必要となります.全国的に病診連携プロジェクトが普及し,病診間での情報提供が円滑になることで,膵囊胞の精密検査が積極的に用いられることにより,今後の膵がん早期発見につながることが望まれます.
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