特集 いま知っておきたい! 内科最新トピックス
第10章 代謝・栄養
PCSK9阻害薬を処方すべき患者とは
岡崎 啓明
1
1東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科
キーワード:
動脈硬化
,
LDL-コレステロール
,
PCSK9
,
適正使用
Keyword:
動脈硬化
,
LDL-コレステロール
,
PCSK9
,
適正使用
pp.617-620
発行日 2020年9月1日
Published Date 2020/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika126_617
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Summary
・高LDL-コレステロール(LDL-C)血症は動脈硬化の最大の危険因子の一つであり,LDL-Cを下げれば下げるほど,動脈硬化は抑制される(the lower,the better).動脈硬化のリスクが高い患者ほど,LDL-Cを下げるのが基本となる.
・高LDL-C血症治療薬は,どの種類の治療薬でも,基本的に同程度LDL-Cが下がれば同程度動脈硬化が抑制される.したがって,エビデンスの多い薬,コストの安い薬を優先して使う.
・PCSK9阻害薬は,LDL受容体の分解を促進する蛋白PCSK9に対する抗体医薬(皮下注)である.LDL受容体の発現増強を介して,強力なLDL低下作用(約60%減)を有し,心血管イベント抑制のエビデンスも示されてきている一方,薬価は高い.
・内服薬(スタチン,ezetimibe,場合によってレジンなど)を用いてもLDL-C管理目標値に達しない場合が,PCSK9阻害薬の適応となる.
・とくに家族性高コレステロール血症(FH),心血管イベントのハイリスク病態(主に冠動脈疾患二次予防)が適応となる.そのほかに,これらの病態におけるスタチン不耐も適応となる.
© Nankodo Co., Ltd., 2020