特集 2019年の白血病診療―新たな武器を上手に活用するために
白血病の治療:新規治療薬の役割を含めて
急性前骨髄球性白血病
木口 亨
1
1中国中央病院血液内科
キーワード:
tretinoin
,
亜ヒ酸
,
tamibarotene
,
gemtuzumab ozogamicin
Keyword:
tretinoin
,
亜ヒ酸
,
tamibarotene
,
gemtuzumab ozogamicin
pp.2081-2085
発行日 2019年10月1日
Published Date 2019/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika124_2081
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Summary
▪急性前骨髄球性白血病(APL)は,APL以外の急性骨髄性白血病とは生物学的に,そして臨床上きわめて異なった性質を有するのが特徴である.かつてFrench-American-British(FAB)ではAML-M3に分類されていたが,2016年WHO分類ではAPL with PML-RARAと定義されている.
▪寛解導入療法については,標準リスク群(治療前WBC 10,000/μL未満)にはtretinoin(ATRA)+亜ヒ酸(ATO)が最新の話題である.高リスク群については分化症候群(DS)のこともあり,今後の課題である.
▪地固め療法についてはATOの有用性が示されており,高リスク群(WBC>10,000/μL)にはアントラサイクリン系薬やcytarabine(Ara-C)といった抗がん薬が必要である.
▪維持療法はATRAをベースに,高リスク群にはtamibarotene(Am80)投与が有効である.一方,ATOが導入された後については,維持療法が必要か否かのエビデンスはない.
▪再発症例は,ATOを用いて分子学的寛解(CRm)が得られた場合に自家移植が推奨される.
© Nankodo Co., Ltd., 2019