グラフ 臨床医のための電顕写真
血液・2
急性前骨髄球性白血病
小川 哲平
1
Tetsuhei Ogawa
1
1慶応義塾大学医学部・内科
pp.974-978
発行日 1983年6月10日
Published Date 1983/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218315
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
急性前骨髄球性白血病(acute promyelocytic leukemia, APL)は,末梢血および骨髄が異常な前骨髄球で占められ,著明な出血傾向と低フィブリノゲン血症を伴って,急激な経過をとり,出血の著しい急性白血病の特殊な型のものとされていた.しかし近年抗白血病剤の使用とともに,汎発性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation,DIC)に対するヘパリン療法によりその治療成績は著しく向上し,寛解率も60%を越えるに至った.このAPLの白血病細胞は不整形の核を示し,多数のペルオキシダーゼ陽性顆粒を有する.粗大な大型のアズール顆粒を有するのが特徴的と考えられていたが,小型の顆粒のものも報告されるようになり,アウエル小体の束faggot(bundles of slender Auer rods)の発見が重要となった.またt(15q+,17q-)の染色体異常を示すなど特異な点が多く,比較的に稀なものと考えられていたが,FAB分類ではM3とされ,非リンパ性急性白血病の約11%を占め,しばしば見られる急性白血病である.さらに抗白血病剤の使用とともに汎発性血管内凝固(DIC)に対するヘパリン療法など他種の白血病と異なった特有の治療法があるため,その診断は重要である。
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.