特集 肝臓病学の未来―ウイルス性肝炎から脂肪肝と肝がんの時代へ
C型肝炎
HCV排除は肝がんを抑制するのか:外来でのフォローはどうするか
榎本 大
1
,
伊倉 義弘
2
,
田守 昭博
1
,
河田 則文
1
1大阪市立大学大学院医学研究科肝胆膵病態内科学
2高槻病院病理科
キーワード:
IFN
,
DAA
,
肝生検
,
線維化
,
発がん
Keyword:
IFN
,
DAA
,
肝生検
,
線維化
,
発がん
pp.1081-1085
発行日 2019年5月1日
Published Date 2019/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika123_1081
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Summary
▪直接作動型抗ウイルス薬(DAA)の登場により,インターフェロン(IFN)が適用できなかった高齢者または肝線維化進展例でもHCV排除が可能になった.
▪年齢や観察期間などの背景因子を調整したメタ解析では,DAA治療でもIFN治療と同等に,SVR獲得により肝発がん(または肝がん再発)を抑制できることが示された.
▪エラストグラフィなどの非侵襲的診断法により,DAA治療による肝線維化の改善も示唆されている.自験例では治療前後の肝生検により,病理組織学的な肝内の壊死・炎症,鉄沈着の改善が示された.
▪一方,HCVが排除されても肝発がんは完全には抑制されない.そのため肝発がんに対するフォローアップを継続する必要があり,具体的なサーベイランスの方法を確立することが課題である.
© Nankodo Co., Ltd., 2019