書評
セーフティテクニック心臓手術アトラス(原書第5版)
岡田 健次
1
1神戸大学心臓血管外科
pp.472
発行日 2019年6月1日
Published Date 2019/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu72_472
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- 文献概要
心臓血管外科手術における成績向上は,近年めざましいものがある.日本胸部外科学会の学術調査によると2014年度には66,453件の心臓大血管手術が施行され,本邦の手術成績は世界をリードしている.これはひとえに先人達のたゆまぬ努力の積み重ねの結果であり,最近の学会主導による医師教育システムの充実が大いに貢献していると思われる.心臓血管外科領域においても患者第一をめざす医療安全・質向上は必須項目であり,その枠組みの中ですべての心臓外科医は日々学術的・技術的向上の必要性に迫られ,厳しい環境のもと日々研鑽を積んでいる.しかしながら,外科医にとって技術について学ぶことは至福のときであり,それを実践して患者に還元できたときにその苦労は報われ,その深みにはまってゆく.心臓手術は一つ歯車がずれると患者の生死に直結する分野であり,慎重かつ時に大胆な判断が要求される.開胸,人工心肺確立,各術式に纏わるピットフォールが待ち受けている.それらを予見して回避する必要があり,常に瞬間的な判断を要求される.これらのテクニカルスキルは先輩医師の指導により学ぶ点も多いが,自ら学ぶ姿勢がきわめて重要で,その助けとなるテキストがあってほしい.
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