Japanese
English
特集 脊椎外傷—捻挫から脊髄損傷まで
第5章 賠償性脊椎外傷のセーフティマネジメント
賠償性脊椎外傷のセーフティマネジメント
The Safety Management of the Compensation-related Spinal Injury
小島 崇宏
1
Takahiro KOJIMA
1
1大阪A & M法律事務所
1Osaka A & M Law Office
キーワード:
賠償性脊椎外傷(the compensation-related spinal injury)
,
医療安全(medical safety)
,
診断書(medical certificate)
Keyword:
賠償性脊椎外傷(the compensation-related spinal injury)
,
医療安全(medical safety)
,
診断書(medical certificate)
pp.502-507
発行日 2016年4月25日
Published Date 2016/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200375
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
脊椎外傷の受傷原因としては,就業中の事故(労災事故)や交通事故などが少なくない.これらにより脊椎外傷を受傷した被害者は,前者の労災事故であれば,使用者ないしは労災保険に対し,後者の交通事故であれば,加害者ないし損害保険会社などに対し,損害賠償金の請求をしていくことになるが,その際の重要な資料の1つが,医師の作成する診断書などである.また,こういった請求相手のある事故でなくとも,患者自身の加入する傷害保険などに治療費やお見舞金などを請求していくような場合には,同様に,医師の作成する診断書が必要となる.医師の作成する診断書の内容によっては,これらの患者が受け取る損害賠償金や保険金の額が大幅に異なってくることも少なくなく,患者にとっては死活問題となり得るものである.このようなことから,特に,労災事故や交通事故により受傷した患者の場合は,立場上,被害感情が醸成され,診療内容や診断書の内容について過剰な要望を求めてくることもあり,医師としては,その対応に悩まされているのが現状である.
多くの患者や手術を抱え,業務多忙な医師にとっては,患者の診療とは直接関係のない診断書の作成業務などは,あまり多くの労力を割くことが難しいところではあるが,診断書の作成は,医師法にも規定された医師の義務であるし(19条2項),このような患者とのトラブルを未然に防ぐために,賠償性脊椎外傷の診療上注意すべきポイントを,後遺障害診断書作成時の注意点を例に挙げ整理する.
Copyright © 2016, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.