連載 遺族の声を臨床に活かす ~J-HOPE4研究(多施設遺族調査)からの学び~ 【#21】
緩和ケアへの紹介時期 【付帯研究6】遺族からみた「緩和ケア病棟に初めて紹介された時期」と緩和ケアチームの活動に関する評価のためのフォローアップ調査―2003年,2007年の結果との比較―(笹原朋代)/【付帯研究11】専門的な緩和ケアの適切な受診・相談時期に関する,遺族の希望についての研究(大日方裕紀,田上恵太)
pp.79-86
発行日 2025年1月1日
Published Date 2025/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango30_79
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付帯研究6
遺族からみた「緩和ケア病棟に初めて紹介された時期」と緩和ケアチームの活動に関する評価のためのフォローアップ調査―2003年,2007年の結果との比較―
笹原 朋代⁎
⁎ファミリー・ホスピス株式会社品質管理部
はじめに
生命を脅かす病をもつ人の苦痛を最小限にするため,適切な時期に緩和ケアを提供することは重要である1).過去2回の緩和ケア病棟への紹介時期に関する調査では,がん患者に対する緩和ケアの導入が遅れる傾向が示され,遺族の多くが紹介時期を「遅い」と認識していることが指摘されている.この調査から10年が経過し,この間に専門的緩和ケアサービスは量的に増加した2).現在の紹介・入院時期に関する遺族の認識に変化はあったのだろうか.
付帯研究11
専門的な緩和ケアの適切な受診・相談時期に関する,遺族の希望についての研究
大日方裕紀⁎1,田上 恵太⁎2
⁎1北海道大学大学院保健科学研究院,⁎2名悠翔会くらしケアクリニック練馬,東北大学大学院医学系研究科緩和医療学分野
はじめに
専門的な緩和ケアとは,緩和ケア病棟や緩和ケアチーム,在宅緩和ケア施設などで提供される高度な知識と技術によるケアである.専門的緩和ケアの提供によりQOL (quality of life)の向上や苦痛症状の減少,生存期間の延長など,その効果は示されている1,2).わが国では,第4期がん対策推進基本計画において「がんと診断された時からの緩和ケアの推進」が推奨され,各病院で取り組みが行われている3).しかし,患者や家族にとって専門的な緩和ケアの導入・紹介の最適な時期についてはわかっていない.
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