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がん薬物療法を受ける患者の災害時の支援を考える ~経口抗がん薬の服薬管理~
村上 富由子
1
1公益社団法人日本看護協会神戸研修センター/がん薬物療法看護認定看護師
pp.87-93
発行日 2025年1月1日
Published Date 2025/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango30_87
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はじめに
日本は災害大国と呼ばれ,これまでにも地震,台風,洪水などの甚大な被害をもたらした災害を身近に感じてきた方は多いのではないだろうか.2024年は,1月1日に発生した能登半島地震をはじめマグニチュード6以上の地震は4件発生しているほか,森林火災や大雨による被害が発生している.また,8月には南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表され,生活者としても医療者としても防災への関心がより高まっていると感じる.
がん薬物療法を受ける患者の災害時への備えについては,これまで筆者自身の東日本大震災の経験を基に注射剤を中心とした影響と対応について考えを深めてきたが,経口抗がん薬投与中の患者が被災した場合,どのような影響があるか,対象の患者にはどのようなセルフケア支援を行うべきか不鮮明であった.そのため,今回,経口抗がん薬服用中に災害が発生した場合の影響や備えておくべきことは何かを検討したい.
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