連載 がん薬物療法看護のWhat’s Trending! Past ☞ Current ☞ Future 【30】
新規に承認されたがん薬物療法薬 in 2024 ~薬の特徴を知って必要な看護支援を考える~
菅野 かおり
1
1公益社団法人日本看護協会神戸研修センター
pp.312-320
発行日 2025年5月1日
Published Date 2025/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango30_312
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はじめに
新薬の開発は基礎研究から始まり,非臨床試験,臨床試験,承認申請・審査まで10~15年かけて承認・販売となる.がん薬物療法薬の開発成功率は10%以下と低く,新薬一品目あたりの開発費は150~200億円と高額なため,薬価が高くなり患者や国家の医療費負担は年々上がっている.一方で,がん薬物療法薬の創薬は,殺細胞性抗腫瘍薬から分子標的薬へとパラダイムシフトしたことで個別化医療が進み,20年前に比べると術前・術後補助化学療法へ適応されるなど拡大している.がんの罹患率の上昇やがん死亡率の下げ止まり,がん研究の成果と製薬会社の新薬開発競争の激化などによってがん薬物療法薬の市場は世界的に拡大を続けている1,2).
新規がん薬物療法薬は,厚生労働省が製造販売承認を行っている.新薬の承認申請が出ると,独立行政法人医薬品医療機器総合機構(pharmaceuticals and medical devices agency:PMDA)が調査をし,品質,有効性,安全性について現在の科学技術水準に基づき承認審査を行っている.承認されるまで約1年かかり,その後薬価が決定し患者が使用できる.PMDAが毎年公表している新医薬品の承認品目一覧(新医薬品)のなかで,がん薬物療法薬は「抗悪性腫瘍用薬」としてリストアップされている.ここ数年,新規がん薬物療法薬の承認数は減少傾向にあったが,2024年度は19品目で,2023年よりも増加している3,4).
本稿では,2024年に承認された新規医薬品のリスト,および新有効成分含有医薬品・新剤形医療品のなかから2剤について情報提供する.

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